トラックの荷崩れは、道路交通法違反になるだけでなく、重大な事故につながる危険性があります。
荷崩れを起こすと、積荷が道路上に散乱し、後続車や対向車との衝突事故を誘発する可能性があるからです。最悪の場合、死傷者を出す大事故にもなりかねません。
本記事では、トラックドライバーだけでなく、荷主や運送会社など、物流に関わる全ての人が知っておくべき荷崩れに関する情報を徹底解説します。
荷崩れが起きる原因を理解し、適切な積載方法と固縛方法を実践することで、安全な輸送を実現しましょう。危険な荷崩れ事故を未然に防ぎ、安全運転を心がけるための知識をぜひ身につけてください。
危険なトラックの荷崩れはなぜ起こる?原因から解説
トラックの荷崩れは、人命に関わる重大な事故を引き起こす可能性があります。
荷崩れは、様々な要因が複雑に絡み合って発生しますが、主な原因を理解することで、未然に防ぐ対策を講じることが可能になります。ここでは、荷崩れが起こる原因を詳しく解説します。
原因①過積載(かせきさい)
過積載とは、車両の最大積載量を超えて荷物を積むことです。過積載の状態では、トラックの安定性が悪くなり、ブレーキの制動距離が伸びたり、カーブでの横転リスクが高まったりします。
また、タイヤやサスペンションなど、車両への負担も大きくなり、故障の原因にも繋がります。
特に下り坂では、荷物の重さがより強くかかり、荷崩れの危険性がさらに高まります。
原因②偏荷重(へんかじゅう)
偏荷重とは、荷物がトラックの荷台に均等に積まれておらず、片側に偏っている状態のことです。偏荷重は、トラックのバランスを崩し、カーブやブレーキ時に荷物が傾いたり、転倒したりする原因となります。
また、タイヤへの負担も不均等になり、パンクやバーストのリスクも高まります。荷物の種類や形状、重量などを考慮し、バランスよく積載することが重要です。
カーブやブレーキは地震の震度5~7に相当する?!
トラックの荷台は、走行中のカーブやブレーキ操作によって、大きな慣性力が働きます。急カーブや急ブレーキ時には、積荷には地震の震度5~7に相当する力がかかると言われています。この強い力が、荷崩れの大きな原因となるのです。
普段何気なく行っている運転操作でも、積荷にとっては大きな衝撃となることを意識し、安全運転を心がける必要があります。
下記の表は、走行中の状況と積荷にかかるGの目安です。
走行状況 | 積荷にかかるGの目安 |
---|---|
急ブレーキ | 0.8G(震度6強相当) |
急カーブ | 0.5G(震度5強相当) |
緩やかなカーブ | 0.2G(震度3相当) |
通常走行 | 0.1G以下 |
トラックで荷崩れが起きるとどうなる?
トラックで荷崩れが起きると、様々な危険が伴います。自車だけでなく、周囲の車両や歩行者にも大きな被害を与える可能性があります。
主な危険は以下の通りです。
- 後続車との追突事故:荷崩れにより積荷が落下した場合、後続車が避けきれずに追突する可能性があります。
- 対向車線への飛び出し:カーブなどで荷崩れが起きた場合、積荷が対向車線に飛び出し、正面衝突事故を引き起こす可能性があります。
- 歩行者への危害:落下した積荷が歩行者に直撃し、死傷事故につながる可能性があります。
- 道路の通行止め:荷崩れにより道路が封鎖され、交通渋滞を引き起こす可能性があります。また、復旧作業に時間を要する場合もあります。
- 運転者への罰則:荷崩れを起こした運転者には、道路交通法違反により罰則が科せられる可能性があります。事業者にも責任が問われる場合があります。
これらの危険を回避するためにも、荷崩れ防止対策を徹底することが重要です。
トラックの荷崩れを防ぐ対策3選!積み方も紹介
トラックの荷崩れを防ぐには、荷物の積み方、固縛方法、運転方法の3つの要素が重要です。これらを「荷崩れ防止の3要素」と呼び、それぞれが密接に関連しています。
1つでも欠けると荷崩れの危険性が高まるため、3つの要素を理解し、適切な対策を行う必要があります。
対策①荷物を隙間なく積む
荷物を隙間なく積むことで、荷物の移動を防ぎ、荷崩れのリスクを軽減できます。荷物の形状やサイズに合わせて、適切な積み方を選択しましょう。
代表的な積み方は下記です。
レンガ積み
レンガを積み重ねるように、荷物を互い違いに配置する方法です。安定性が高く、様々な形状の荷物に適用できます。
窓積み
荷物を壁のように積み重ね、中央に窓のような空間を作る方法です。通気性が良く、変形しやすい荷物に適しています。
棒積み
棒状の荷物を平行に積み重ねる方法です。木材やパイプなどの運搬に適しています。荷崩れを防ぐため、結束バンドやロープでしっかりと固定する必要があります。
スプリット積み
パレット上に荷物を均等に配置し、隙間を埋めるように積み重ねる方法です。パレットの強度を活かせるため、重量物の運搬に適しています。
ピンホイール積み
円柱状の荷物を放射状に配置する方法です。ドラム缶やタイヤなどの運搬に適しています。中心部をしっかりと固定することが重要です。
対策②ワイヤーロープや荷崩れ防止ベルトを使用し固縛する
荷物を固定するために、ワイヤーロープや荷崩れ防止ベルトを使用します。荷物の種類や重量に合わせて、適切な強度と長さのロープやベルトを選びましょう。
また、ロープやベルトの締め付け方にも注意が必要です。締め付けが弱すぎると荷物が動いてしまい、強すぎると荷物が破損する可能性があります。
ラッシングベルトは、バックルとベルトで構成された荷締め機であり、簡単に荷物を固定できます。
一方、ワイヤーロープは、より強力な締め付けが必要な場合に適しています。シャックルやターンバックルなどの金具と組み合わせて使用することで、より確実な固縛が可能です。
荷物の形状や重量、トラックの種類に合わせて、適切な固縛方法を選択することが重要です。
積荷の長さが5m以上の場合は3点(6箇所)固定が必須
積荷の長さが5m以上の場合、道路交通法により3点(6箇所)固定が義務付けられています。これは、長尺物の荷崩れを防止するための重要な規定です。
3点固定とは、荷物を前後左右の3方向から固定することで、荷物の揺れや移動を抑制する効果があります。
具体的には、荷台の前後と中央の3箇所で、それぞれ2点ずつ、合計6箇所で固縛します。
雨除けシートをかけるのはロープの使用前?後?
雨除けシートは、ロープで荷物を固縛した後にかけます。シートをかける前に固縛することで、シートが風でバタつくのを防ぎ、荷崩れのリスクを軽減できます。
また、シートをかけた後にロープを締め直すことで、より確実に荷物を固定できます。
シートの種類としては、トラックシート、平シート、ロールシートなどがあり、積荷のサイズや形状に合わせて適切なものを選びましょう。
対策③「急」発進・ブレーキ・ハンドルをしない
急発進、急ブレーキ、急ハンドルは、荷崩れの大きな原因となります。これらの操作は、荷台に大きな衝撃を与え、荷物が動いたり、倒れたりする可能性があります。
特にカーブやブレーキ時は、荷台にかかる力が大きくなるため、注意が必要です。スムーズな運転を心がけることで、荷崩れのリスクを大幅に減らすことができます。また、道路状況や天候にも注意を払い、安全運転を心がけましょう。
これらの方法を実践することで、トラックの荷崩れを効果的に防ぎ、安全な輸送を実現できます。荷崩れは重大な事故につながる可能性があるため、常に注意を払い、適切な対策を講じることが重要です。
トラックの荷崩れを防ぎ安全に輸送しよう
トラックの荷崩れは、過積載や偏荷重、急発進・急ブレーキ・急ハンドルなどが原因で発生し、大事故につながる危険性があります。
荷崩れを防ぐためには、荷物を隙間なく積む、ワイヤーロープや荷崩れ防止ベルトで固縛する、「急」操作をしない、という3つの対策が重要です。
荷物の種類や形状に合わせて適切な対策をしっかり行い、安全な輸送を心がけましょう。